舌小帯・上唇小帯について
舌小帯・上唇小帯が短いと言われたら?お子さんのお口の成長と治療について
こんにちは、とよだ歯科医院です。
乳幼児健診や歯科健診で、「舌の裏の筋が短いですね」「上唇の筋が歯ぐきまでつながっていますね」と言われたことはありませんか?
このようなときに関係するのが、**舌小帯短縮症(ぜつしょうたいたんしゅくしょう)や上唇小帯短縮症(じょうしんしょうたいたんしゅくしょう)**です。
お子さんのお口の状態を見て、「授乳や食事に影響はないの?」「発音が悪くなるの?」「手術をしたほうがよいの?」と心配される保護者の方もいらっしゃると思います。
今回は、それぞれの小帯の役割や、治療が必要になるケース、受診の目安について、わかりやすく解説します。
1.そもそも「小帯」とは?
小帯とは、口の中にある、唇や舌と歯ぐき・口の底などをつないでいる薄いひだ状の組織です。
お口の中にはいくつかの小帯がありますが、今回ご紹介するのは「舌小帯」と「上唇小帯」の2つです。
舌小帯(ぜつしょうたい)
舌の裏側と口の底をつないでいるひだです。
舌が動きすぎないように支えながら、舌の動きを調整する役割があります。
この舌小帯が短かったり、舌の先端に近い位置まで付着していたりすると、舌を十分に動かしにくくなることがあります。
上唇小帯(じょうしんしょうたい)
上唇の内側と、上の前歯の歯ぐきをつないでいるひだです。
乳幼児期には、上唇小帯が太く見えたり、上の前歯の間に近い位置まで伸びていたりすることがあります。
ただし、小帯が太い、付着位置が低いという見た目だけで、異常や治療の必要性が決まるわけではありません。
お子さんの成長に伴って、上唇小帯の見え方や付着位置が変化することもあります。
2.舌小帯短縮症とは?
舌小帯短縮症とは、舌小帯が短い、あるいは舌の動きを制限する位置に付着しているために、舌の動きが制限される状態です。
一般に「舌小帯が短い」「舌小帯がつっぱっている」「舌がハート型になる」といった様子が見られることがあります。
こんな様子が気になる場合は相談しましょう
- 舌を前に出そうとしても、十分に出せない
- 舌を出すと、舌の先端がハート型にくぼむ
- 舌を上あごにつける動きが難しい
- 赤ちゃんの授乳がうまくいかず、飲むのに時間がかかる
- 成長後、舌の動きに関係する特定の発音が難しい
ただし、これらの様子があっても、必ず舌小帯短縮症が原因とは限りません。
特に授乳の問題には、授乳姿勢や吸着の仕方など、舌小帯以外の要因も関係します。また、舌小帯が短く見えても、日常生活に支障がないお子さんもいます。
発音への影響はあるの?
舌は、さまざまな音を発音するために重要な役割を果たしています。
舌小帯によって舌の動きが制限されると、一部の音の発音が難しくなる場合があります。
一方で、発音の問題は舌小帯だけで説明できるものではありません。言葉の発達や発音の仕方なども含めて評価する必要があります。
そのため、舌小帯が短いという理由だけで、幼児期に急いで手術をする必要があるとは限りません。
3.上唇小帯短縮症とは?
上唇小帯短縮症とは、上唇小帯の形や付着位置によって、上唇の動きや歯ぐきの状態などに影響が生じている状態です。
乳幼児では上唇小帯が目立つことがありますが、多くの場合、成長とともに見え方が変化します。
上唇小帯が気になるときのチェックポイント
- 上唇を持ち上げると、歯ぐきが強く引っ張られる
- 上唇を動かしにくいなど、機能面で気になることがある
- 上の前歯の間にすき間がある
- 歯みがきのときに小帯が気になり、痛がることがある
- 小帯の周囲に汚れが残りやすい
ただし、これらの状態がすべて上唇小帯短縮症によるものとは限りません。
上の前歯にすき間があるのは、小帯のせい?
お子さんの上の前歯の間にすき間があると、「上唇小帯が原因なのでは?」と心配になる方もいらっしゃいます。
乳歯や生えたばかりの永久歯の時期には、歯と歯の間にすき間が見られることがあります。これは、永久歯への生え替わりに向けた自然な成長過程である場合もあります。
上唇小帯が前歯の間に付着していることと、歯のすき間があることは関連する場合がありますが、必ずしも小帯だけが原因ではありません。
前歯のすき間を閉じるために、乳幼児期から上唇小帯を切除することが一般的に必要というわけではありません。
永久歯への生え替わりや歯並びの状態を確認しながら、必要に応じて経過を観察します。
4.舌小帯・上唇小帯は切除したほうがよい?
保護者の方が最も気になるのは、「手術をしたほうがよいのか」という点ではないでしょうか。
大切なのは、小帯の形だけで判断するのではなく、実際にどのような機能への影響があるかを確認することです。
舌小帯の場合
明らかな授乳障害がなく、舌の動きや日常生活に支障がない場合には、通常、切除を急ぐ必要はありません。
授乳に問題がある場合には、授乳姿勢や吸着状態なども含めて評価し、舌小帯が原因と考えられるかを確認します。
発音については、舌の動きと発音の状態を評価したうえで、必要に応じて言語聴覚士などの専門職とも連携して治療方針を検討します。
日本小児歯科学会は、舌小帯に起因する発音の問題について、原則として5歳以降に切除の必要性を判断する考え方を示しています。
上唇小帯の場合
上唇小帯が目立つだけで、必ず切除が必要になるわけではありません。
上唇の動きに明らかな制限がある場合や、歯ぐきへの影響、清掃の難しさなどが問題となっている場合には、歯科医師が状態を確認し、対応を検討します。
前歯のすき間についても、年齢や永久歯への生え替わり、歯並びの状態などを踏まえて判断します。
切除する場合には、どのような治療をするの?
必要と判断された場合には、舌小帯や上唇小帯を切開・切除する処置などが検討されます。
処置方法は、お子さんの年齢や小帯の状態、機能への影響などによって異なります。
また、処置をすれば必ず授乳や発音、歯並びなどの問題が改善するとは限りません。処置の必要性や期待できる効果、出血・感染・瘢痕などのリスクについて、事前に十分な説明を受けることが大切です。
5.何歳で受診すればよい?
小帯の状態が気になる場合は、年齢だけで判断するのではなく、現在の症状に応じて相談することをおすすめします。
- 赤ちゃんの時期: 授乳がうまくいかない、体重増加が心配、授乳時に強い痛みがあるなどの場合
- 幼児期: 舌や唇の動き、食べ方、歯みがきのしにくさなどが気になる場合
- 5歳以降: 発音の問題が続いている場合や、舌の動きに明らかな制限がある場合
- 永久歯への生え替わりの時期: 上の前歯のすき間や歯ぐきへの影響が気になる場合
なお、赤ちゃんが十分に飲めない、体重が増えない、脱水が疑われるなどの場合には、年齢にかかわらず、早めに小児科や授乳支援の専門職へ相談してください。
6.ご家庭で無理に小帯を引っ張らないでください
インターネットやSNSでは、小帯を伸ばす方法や、切除後のトレーニングなどが紹介されていることがあります。
しかし、自己判断で小帯を強く引っ張ったり、切ったりすることは危険です。
傷や出血、感染などにつながるおそれがあるため、ご家庭で無理な処置を行わず、まずは歯科医師や小児科医に相談しましょう。
また、切除後の運動やケアについても、処置の内容やお子さんの状態に応じた指示を受けることが大切です。
まとめ|大切なのは、小帯の形よりもお口の機能です
舌小帯短縮症や上唇小帯短縮症は、お子さんのお口の発達を考えるうえで、確認しておきたい状態の一つです。
しかし、小帯が短い、太い、付着位置が低いといった見た目だけで、必ず治療が必要になるわけではありません。
大切なのは、授乳、食事、舌や唇の動き、発音、歯ぐきや歯並びなどに、実際にどのような影響が出ているかを確認することです。
「舌の裏の筋が短いと言われた」「上の前歯の間にすき間がある」「手術が必要なのか心配」など、気になることがあれば、まずはご相談ください。
とよだ歯科医院では、お子さんのお口の状態を確認し、必要に応じて専門医療機関とも連携しながら、成長に合わせた対応を考えていきます。
お子さんの健やかなお口の成長を、一緒に見守っていきましょう。
